一般社団法人日本デイサービス協会(全国 2,840 事業所《2023 年 3 月現在》)は、2014 年 6 月に設立され、「地域包括ケアシステムの確立において、在宅サービス三本柱の一つであるデイサービスの役割が重要であり、レスパイトケアの充実に加え、自立支援の推進を通じて、デイサービス事業者が持続可能となるよう、利用者本位の社会保障制度改革の実現を目指します」という協会理念のもと、地域に密着した中小事業者から全国展開する大手事業者まで多くの声を集めてとりまとめております。2020 年から現在に至るまで続く新型コロナウィルス感染拡大の影響は、高齢者の在宅生活を脅かしデイサービス事業者の運営継続に大きな支障をきたしております。そのような中での来年 2024年(令和6年)は、診療報酬・介護報酬の同時改定が行われる重要な年度であると認識致しております。今春より社会保障審議会・介護給付費分科会において活発な審議がなされていく上で、当協会としても「通所介護事業の在り方」について意見をとりまとめ致しました。
次期介護保険制度改正に向けた現場視点での意見提言として内容を精査頂き、検討くださいますようお願い申し上げます。
◆通所介護事業の在り方について
通所介護事業(地域密着通所介護事業含む)は、介護保険制度開始以降最も整備の進んだ事業であり、現在、全国に約 44,000 事業所運営されております。2015 年(平成 27 年)の改定では厳しい報酬単価の引下げがあり、以降も度重なる改定が続いている為、事業所数はこの 8 年横ばいの状態が続いています。そのような状況は「介護事業経営実態調査」における「収支差率」に顕著に表れております。
当協会では、通所介護事業は、地域包括ケアモデルの確立において不可欠な「在宅サービスの要の1つ」であるとの認識に立ち、改めて再評価頂くとともに更なる役割を見出し、以下の価値により再定義を行って頂きたいと願います。
・在宅介護サービス分類において、総合的な機能と役割(自立支援の推進、医療連携、認知症ケア、機能訓練、排泄・入浴・食事、地域連携、社会参画、レスパイトケア等々) を有し、要配慮高齢者から軽度・中重度の要介護高齢者まで、全ての層に対しニーズに応じたサービスメニューを構築することが可能な事業である。
・高齢者のニーズに応じた一定時間の滞在、定期的な利用を通じ、今後の社会保障改革における重要課題となる「自立支援の推進・アウトカム評価の推進」における最適なサービス分類の1つである。
・社会経済を中心で回していく現役労働者の介護離職問題を効果的に解決していくサービス分類である。
・今後の社会保障改革における重要課題となる「健康寿命の延伸・介護予防の推進」「認知症対策の推進」「共生型サービスの推進」「介護保険外サービスの課題整理」においても最適なサービス分類である。
・自宅とは異なる通いの場の提供を通じて、社会参画の場、地域交流の場を提供するとともに、レスパイトケア(介護者の支援)を通じて、要介護高齢者の在宅生活の継続に大きな役割を果たしている。
・中重度の要介護高齢者への対応が可能であり、レスパイトケアの役割を有する通所介護事業は、高齢者の在宅生活の継続には欠かせない事業であり、介護施設に投じる社会保障費と比較して投じる社会保障費の抑制だけでなく、同じく在宅介護の中心事業である訪問介護と比べても費用対効果が高い事業であることから、持続可能な社会保障制度の確立に向けた給付と負担のバランスの考慮が求められる中では通所介護事業の整備は重要な意味を持つと考える。
上述した通所介護事業の価値を改めて評価頂き、今後の制度改正において、以下の提言を取りまとめました。
1.自立支援に向けた取組について
2.通所介護事業の基本報酬単価について
3. 共生型サービスの基本報酬単価について
4.サービスを安定させるための人員配置要件について
5.生産性を向上させる加算要件について
6.デイサービスにおける宿泊サービス提供の指針緩和について
7.介護従事者の確保と働き方改革について
8.介護職員処遇改善加算の効果的運用について
9.事務負担軽減について
10.利用者の自己負担割合原則 2 割変更の見直しについて
11.全事業者が取組める介護事業 DX・ICT 強化について
12.通所・訪問介護の複合型サービス導入について
1.自立支援に向けた取組について
2021 年(令和 3 年)の改定において科学的介護推進体制加算(LIFE 加算)の導入や ADL 維持等加算の報酬見直しがなかれより自立支援に向けた方向性が示されているところでありますが、その報酬は十分ではなく、事務負担も大きいことから取組が進まない実情があります。より拡充していくためには更なる報酬の見直しが必要です。さらに発展的な LIFE の活用に向け、①フィードバックデータの有効的データ提供がなされるまでの期間においては活用方法は事業所の判断可能等、柔軟な対応とする通知。②フィードバックデータの有効的データ提供がなされる目安の時期の開示。③利用者等に自己負担を強いることに対して LIFE の推進等をケアマネジャーへの理解を求める通知および利用者・家族への啓蒙活動などを要望します。
また、自立支援に向けた事業者へのインセンティブ付与の在り方については、過去の有識者会議でも要介護度を改善させた事業所に対するインセンティブ措置を導入すべきとの意見が出されています。当協会としては、自立支援に向けた事業者へのインセンティブ付与の在り方は、介護予防通所介護等における「事業所評価加算」に準ずる形で、要介護度の改善に対するインセンティブ付与が好ましい在り方であると考えます。そもそも介護保険制度においては要介護度ごとに介護報酬単価が設定されていることから、インセンティブ付与の仕組みについても要介護度に紐づく仕組みとなることが自然であると考えます。
もちろん、身体的な自立のみを評価するのではなく、高齢者の QOL の向上、「活動」や「参加」に焦点をあてることは重要であり、現在の要介護判定における判定基準、とりわけ 2 次判定の内容を再度検討し見直すことが必要であると考えます。
2.通所介護事業の基本報酬単価について
通所介護事業の基本報酬単価は、2015 年(平成 27 年)の改定では厳しい報酬単価の引下げがあり、以降も度重なる厳しい改定が続いている為、事業所数はこの8年横ばいの状態が続いています。そのような状況は「介護事業経営実態調査」における「収支差率」に顕著に表れております。昨今の物価高騰が続く中で特に送迎業務が基本サービスとされている通所介護においては他サービスに比べ、ガソリン代をはじめとしたエネルギー関連費用の負担が大きいことからも現行の基本報酬単価では、事業所の減少が続くことが予測されます。今後も一定期間、要介護者は増大することが予測されており、これ以上の基本報酬単価のマイナスは需給バランスを大きく崩すこととなる懸念があることから、次期報酬改定において、在宅サービスの要の1つであり、通所介護事業の整備が社会保障費の抑制にも効果を期待されることからも、通所介護事業の基本報酬単価については再評価をしてお願いしたい。
3.共生型サービスの基本報酬単価について
共生型サービスは 2018 年改正に新たに導入され、 「介護保険サービス事業所が、障害福祉サービスを提供しやすくする」「障害福祉サービス事業所が、介護保険サービスを提供しやすくする」ことを目的とされた上に「介護」や「障害」といった枠組みにとらわれず、多様化・複雑化している福祉ニーズに臨機応変に対応すること、地域共生社会を推進するためのきっかけをつくる、人口減少社会にあっても、地域の実情に応じたサービス提供体制整備や人材確保を行うこと、といったように、各地域で発生している課題の解決や掲げている目標の達成の一助となることが期待されています。しかしながら、現行の共生型サービスにおいては、通所介護の基本報
酬単価より安価に設定されており、その期待に十分に応えられる状況にはない為、サービスの担い手が増えて行かない現状があります。今後の社会情勢の変化に合わせてこの共生型サービスの担う役割は大きい為、基本報酬単価の見直しを求めます。
4.サービスを安定させるための人員配置要件について
デイサービスを始め介護従事者の人材採用については、厳しさが増してきています。更にその中に置ける有資格者の採用については、さらに困難を極め求人広告費、人材紹介等の人材採用費の増大に加え、人材派遣においても確保出来ない状況となりつつあります。労働人口の減少に加え、介護従事者として就労をする希望者は減少傾向です。介護現場の仕事の魅力を高めていくことにおいても各法人の努力で同様に様々な労働環境改善を行っているところでありますが、有資格者の配置義務については、柔軟かつ弾力的な運用が可能になるようにしていかなければ運営継続が困難になります。例えば、看護師の配置要件においては、現状定員 10 名までは配置義務なし、11 名以上は配置要件ありとなっております。これは地域密着型通所介護が旧サービス分類小規模通所介護から見直されておりません。現在は、小規模区分はなく地域密着型通所介護に移行され定員 18 名となっているため、こちらに合わせることで制度としても整合性がとれると考えております。看護師確保については待遇も高く採用費も含め支出が多い上に確保が難しく、特に定員数の少ない事業者においては負担が大きい実情があります。また、デイサービスでの看護師業務についてはバイタル等の健康チェックと傷の処置等になることが多いですが、過去の国の調査で看護師が専門職として行うべき業務は 2 割程度で 8 割の業務は介護士と同じという結果が示されました。この辺りからも、看護師の専門的配置については緩和できると思います。
中重度ケア体制加算には看護師配置が必須ですのでより専門的業務の必要性の高い現場においては対応できていると考えております。このように職種毎のデイサービスにおける業務内容の見直しと再検証を行い、緩和も含めた人員配置基準について再検討の議論をするように求めます。
5.生産性を向上させる加算要件について
介護保険制度が始まって以来度重なる改正において多種多様な加算が創設されてきました。社会環境や高齢者を取り巻く生活様式の変化などに合わせてデイサービスに期待されている役割も変わっていくこと自体は自然な流れかと考えております。しかしながら、多種にわたる加算についてはその算定要件も含め人員基準をはじめとした計画や記録など重複した条件が現場での負担を大きくし、本来である高齢者への自立支援サービスの執行に影響が出ている実情があります。算定率の低い加算等においてはその必要性や取組事業者が増えない背景をしっかり検証した上で、加算分類を今一度整理頂き、可能な限りシンプルな制度に整えて頂くことを求めます。シンプルな制度になることで自治体・事業者双方の事務負担の軽減に繋がり、利用者の自己選択を促しやすくなり、引いては事業者がイノベーティブな発想を持った事業展開が可能となると考えております。
6.デイサービスにおける宿泊サービス提供の指針緩和について
デイサービスにおける宿泊サービスは、2015 年(平成 25 年)12 月 20 日社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」の利用者保護の観点から「宿泊サービスの実態を把握するための届出を導入」、「事故報告の仕組みを構築する」ことになりました。その上で「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 37 号)」の改正、宿泊サービスの最低限の質を担保するという観点から、「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針」が出されております。
宿泊サービスは、レスパイトケア(介護者の支援)だけでなく、宿泊サービスをうける要配慮高齢者から軽度・中重度の要介護高齢者が通い慣れた事業所に宿泊することで、環境の変化が少なく、利用者の負担も軽減できています。
介護保険制度の中においては小規模多機能型居宅介護サービスが本来この役割を担うものですが、現在は5614 事業所(令和3年介護サービス施設・事業所調査結果)と要介護高齢者の増加に対して全く足りていない現状があります。デイサービスにおいて宿泊サービスを提供することで要介護高齢者が住み慣れた地域や自宅で生活しつづけられるように支援している所において、指針の中で利用定員は「宿泊サービス事業所の利用定員は、当該指定通所介護事業所等の運営規程に定める利用定員の 2 分の 1 以下かつ 9 人以下とすること。」とされております。近年毎年のように雪害が出ている豪雪地域においては、冬季において自宅での生活がままならず、冬季のみでも宿泊サービスが使えれば在宅生活が継続できるところ事業所の定員規模に関わらず「9 名以下」とされていることで施設入所を余儀なくされる要介護者が発生しております。さらに、新型コロナウィルスは感染力が強く今後2類相当から5類へなることにより、より多くの介護者の急を要する様々な問い合わせにも対応できるよう、「宿泊サービス事業所の利用定員は、当該指定通所介護事業所等の運営規程に定める利用定員の 2 分の 1 以下とすること」への緩和を要望します。
7.介護従事者の働き方改革について
働き方改革の議論と法整備も進む中、介護現場においても労働環境改善は最重要課題であると強く認識しております。介護従事者の採用は困難を極め、離職低減にむけて動くことが必須でありますが、各事業所の努力だけでは難しい現状があります。通所介護事業においては、介護報酬が事業所への滞在時間で決定されております。しかしながら、介護従事者は、実際には利用者の送迎業務も行っており、労働拘束されている実情があります。現在、利用者宅内からの移動介助の必要な方など、一部送迎時間をサービス提供時間に含める等を認められておりますが条件つきであります。若年者の車離れも加速し自動車運転免許保有者の減少によりドライバー採用も困難になりつつあります。送迎業務においては、要介護高齢者を事故無く慎重に移送する業務であり、
介護従事者における精神的身体的負担は多大なものです。ここにあわせて、サービス提供時間が別になっていることで、精神的圧迫負担も大きい現状があります。事故防止と介護従事者における精神的負担軽減につながり、働く環境改善に向けて、お客様のお迎えおよびお送りとして自宅からの時間をサービス提供時間に含むことを要望します。また、有給休暇取得においても有資格者の代替要員の確保についての支援や臨時的な基準緩和について基準の明確化を検討することを求めます。
8.介護職員処遇改善加算の効果的運用について
既に各種処遇改善加算の統合に向けた方針が一部で報道されているところでありますが、介護従事者の処遇改善に関しては現行ある「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」共に課題があると考えています。多職種連携が基本となる通所介護の現場において効果的な運用が今後の介護人材の不足を解決する方法の1つとなります。
・従業員の給与規定に関する事項は資格のみならず人材の能力評価をしっかり反映させることが必要です。また、介護現場においては多職種によるチームケアが中心となるため職種に限定された処遇改善は、公平性の観点から現場に大きな不協和音を招いてい現状があり、限定的なルールではなく事業者の分配裁量権の拡大を求めます。
・「介護職員処遇改善加算」及び「介護職員等特定処遇改善加算」については複雑かつ現場における事務作業量は膨大であり、小規模事業者についてはそれを理由に手続きできないという声が上がっています。都道府県、市区町村と管轄保険者によるローカルルールも発生してこれも事務負担の要因にもなっている為、処遇改善の事務負担施策のすみやかな実行を求めます。
・利用者の自立支援と介護予防の観点から、総合事業を併設して行っている通所介護事業は多く、デイサービス介護従事者は兼務体制が大半をしめています。しかしながら、市区町村管轄の総合事業においては処遇改善加算を設けていないところが多数であり、現在の「処遇改善加算」や「特定処遇改善加算」については、介護報酬に一定の率を乗じて配布される仕組みでは十分な原資が確保できておりません。総合事業においても処遇改善加算の標準化を求めます。
9.事務負担軽減について
介護保険制度は、介護保険法令に従って、全国でどこでも保険サービスを受けられる状態が正しい姿であると考えております。しかしながら、度重なる改定において複雑化してきており、重複した行政への届出や管轄の縦割りにより条件や解釈に大きな違いが生じている事実があります。本来、利用者の自立支援に向けて活動していくことが最も重要な業務であるはずなのに、都道府県、市区町村それぞれで独自の解釈をされていることが、介護現場に大きな混乱と負担をもたらしております。現在書式の統合化およびデジタル化により改善されていく見込が立っていることは歓迎されることでありますが、その速やかな周知と実行、ひいては保険者に対する指導監督を厚生労働省にお願いしたい。あわせて逸脱した解釈に対する相談窓口の設置を要望します。
10.利用者の自己負担割合原則 2 割変更の見直しについて
協会独自調査結果(2022 年 7 月公表)により、ご利用者の 37.4%が自己負担が 2 割になった場合デイサービス等のサービスの見直しを行うと回答。そしてその理由の 66%が「負担金額が大きい(支払に困る可能性がある等)」として、経済的理由にてサービスを制限する可能性が高いことが判明しました。サービスを見直すに当たっての心配事としては「「運動が減るので筋力低下等で調子(体調等)が悪くなるが最多で 30.4%となり、次いで「外出する機会が少なくなる」21.9%という結果となりました。心身の機能の維持向上、社会交流の機会をつくる等、デイサービスの本来の介護保険上の役割の重要性を確認すると共に在宅生活継続していく高齢者に対して自立支援に向けたデイサービスの本来の役割を社会に提供する上で課題となることが明らかと考えます。
利用者の負担割合の原則2割の変更について、負担能力に応じた「適正な」設定基準の見直しが必要と考えます。本件については、デイサービスのみならず全ての介護保険サービスに大きく影響する問題であり一律的な負担割合の議論ではなく厚生労働省、保険者等でしっかり実情に沿った議論をしていくように強く求めます。
11.全事業者が取組める介護事業 DX・ICT 強化について
労働人口が減少する中で特に需要が高まっていく介護業界の中において介護人材が不足していく課題の解決の 1 つに介護事業の DX・ICT 化に注目が集まってから一定の時間が経ちました。経済産業省、厚生労働省の他、都道府県等においても各種補助金や助成制度を整備頂いている事には感謝しております。しかしながら、現在この補助金や助成制度が広く活用されているとは言い難い実情があります。その一因に申請条件に金額的な規模などがあり必ずしも介護事業者全てが使えるようなものとなっておりません。人材が不足する中、専門的業務に集中させたり、ペーパーレスの社会を実現するためには広く介護事業者が DX・ICT 化に取組める環境をつくる必要があります。既にある補助金、助成制度の申請条件を中小零細の小規模事業者も活用できるような条件に見直すと共に、申請事務の簡素化をお願いします。
さらに、介護事業 DX・ICT 化を進めるにあたって施設内の wifi 等通信設備を強化する必要があります。タブレットやスマートフォンにてデータの入力や管理をする形となりますが端末の台数が増えれば増えるほど一般家庭で使用するような機器では対応が困難となります。特に、デイサービスは単独事業所が多く事業用通信設備を有していない場合がほとんどですので、通信機器の強化を目的とした費用への補助金、助成金制度を導入を求めます。
12.通所・訪問介護の複合型サービス導入について
2022 年 12 月より検討が進められている通所・訪問介護の新類型複合型サービスについて日本デイサービス協会としても注目しているところです。現段階においては、方向性の提示に止まり内容が明らかになっておりませんが、日本全国を見ていくとサービスの担い手不足により在宅介護サービスの受給バランスが既に崩れている地域があることを把握しております。この新しいサービス類型においてはこういった地域の問題を解決する形になりうると考えております。全国的なサービスの担い手不足をカバーしていくためにも新しい複合型サービスの運営事業者が増えていく必要性があると考えています。既存の地域密着型サービスの運営規模基準等、定員の数にる区別ではなく地域の実情に沿った判断によりサービス事業者が参入できるように検討することを求めます。
さらに、通所介護サービス、訪問介護サービスの業務内容および社会的役割は異なっており安易に介護人材のシェアができるとは思えません。単体のサービスよりも高度かつ柔軟な対応ができる介護従事者が必要となり、採用や育成にも多くの課題が出てくることが予想されます。自立支援に向けた高い知識と介護技術に加え、一軒ずつ異なる自宅の環境に合わせた介護・生活支援の幅広い対応ができる人材に見合う報酬単価の設定なしには取組事業者の参入は限定的となります。新類型複合型サービスを継続的な事業運営が可能な報酬設定となるようにしっかりと議論することを求めます。
一般社団法人日本デイサービス協会
理事長 森 剛士