入浴介助加算Ⅱの算定に関する指針

そのほか

指針

2021 年4 月の介護保険改正は、科学的介護推進元年とも呼べる制度の大きな転換期となりました。
LIFE 関連加算が大きな注目を集めておりますが、ADL 維持等加算の拡充などより自立支援に向けたデータ分析からの効果的アプローチおよび状態改善へとつなげて行く方向に移っております。
日本デイサービス協会では、協会理念として概ねこの方向性には賛同しているところであります。
デイサービス事業者が持続可能なサービス提供と利用者本位の社会保障制度改革に向けて議論を重ね、活動しているところでありますが、今回の法改正に対して現場が対応しきれていない現状が見えてきました。
特に入浴介助加算Ⅱにおいては、算定における基準ともなるべきQ&A の発出が遅れたこともあり、ケアマネジャーとデイサービス事業者での考え方の相違が問題となっていることが協会の調査により明らかになりました。介護保険最新情報Vol.974 が発出された後も算定条件を満たしているにも関わらず「内容に納得いかない」「自立の必要性を感じない」の声と共に特に「ケアマネ事業所の方針により、一律的に算定を認めない」との事例も確認されていることについては、介護保険制度の目的から逸脱していることとして大きな問題と捉えております。
入浴介助加算Ⅱは、デイサービス利用者の入浴介助加算算定率の高さからより在宅生活での入浴ニーズの高さおよびより効果的な自立支援アプローチの取組をしている事業者を評価する目的で新設されました。より自立支援に向けた評価となることは間違いなく、協会としてはしっかりと個別のケアを精査し出来る限り算定していくことを推奨している立場であります。
介護保険制度のキーマンであるケアマネジャーとサービス事業者の分断は、要介護高齢者の在宅生活を守ることに何らプラスに働くことはありません。協会としては、早急に関係諸団体と連携を密に図り、算定事例の共有などを行うことで正しく通所介護サービスが提供されていくように啓蒙活動を行ってまいります。

最後に

コロナ禍での介護現場は関わる人それぞれがお互いの立場を尊重し協力し合うことで乗り越えてくことができる信じております。現場の混乱がなきように厚生労働省、都道府県、保険者等の調整や指導に対しても要望を上げていきたく思います。高齢者の多くは住み慣れた自宅での生活の継続を希望されていることは周知の事実であり、その実現に向けた通所介護事業の果たす役割は大変大きく、継続的に運営し続けられるように活動してまいります。

 

一般社団法人日本デイサービス協会
理事長 森 剛士