【総合事業の実態調査の背景】
総合事業においては、2015 年度の制度改正にて実施が決まり 2 年の移行期間を経て 2017 年 4 月より完全切替となり 4 年が経過しています。この間様々な問題点があることが、デイサービス事業者より声として寄せられていますがあまりその実情については議論されていない現状があります。協会としてその実情を把握すべく、実施した会員向けアンケート結果および関連調査結果をもとに協会としての見解について会員および関係団体にお伝えいたします。
◆デイサービス事業者の 4 割強が未受託
協会独自調査結果(2021 年 10 月公表)により、デイサービス事業者の約 4 割強が総合事業を受託し
ていない現状が明らかになりました。受託運営してる事業者の 6 割が受託理由について「利用者本位」
と回答しており多くの事業者は利用者が要支援・要介護の判定結果に左右されず継続的にサービス提供
できる体制を維持しているものの、「報酬が低いこと」を理由に、利用者の受入に制限を設けていたり、受託を断念することにつながっていることがわかりました。
◆ケアマネジャーの半数が困惑する事態を経験
合わせて高齢社会ラボ(運営:株式会社エス・エム・エス、2021 年 11 月 30 日公表)のケアマネジ
ャー向けに実施された【総合事業に関する調査】結果として以下のように公表されています。
「回答者の約半分が総合事業の利用において利用者が困惑する事態を経験しており、その経験の約 6 割
はサービス事業者による利用者の受入れ拒否だった。また、全体の 8 割は要介護者 1、2 の総合事業移
管について反対の意見を示しており、その理由の大半は、利用者が十分にサービスを受けられなくなる
ことに対する懸念だった。」介護保険制度のキーマンであり、利用者のサービス調整者であるケアマネ
ジャーの困惑は利用者の声を強く反映しているものと認識しております。
【総合事業の実情に沿った議論を要請】
これらの調査結果より日本デイサービス協会では、協会理念に照らし合せデイザービス事業者が持続
可能なサービス提供と高齢者の視点に立った総合事業制度の現時点での問題点について報酬のみなら
ず、サービス事業者の事務負担の軽減、要介護認定結果によりサービスが断絶されないようスムーズな
移行が可能となる制度となるように厚生労働省、保険者等でしっかり実情に沿った議論をしていくよう
に強く求めます。高齢者の多くは住み慣れた自宅での生活の継続を希望されていることは周知の事実で
あり、その実現に向けた通所介護事業の果たす役割は大変大きく、継続的に運営し続けられるように活
動してまいります。
◆一般社団法人日本デイサービス協会 「デイサービス運営における総合事業実態調査結果」
https://www.japandayservice.com/pdfs/20211011.pdf
◆高齢社会ラボ「総合事業に関する調査」
https://aging-and-well-being-labo.com/surveys_20211130_sougoujigyounikansuruchosa/