来年 2024年(令和6年)は、診療報酬・介護報酬の同時改定が行われる重要な年度であると認識しております。
今春より社会保障審議会・介護給付費分科会において活発な審議がなされていく上で、当協会としても「通所介護事業の在り方」について意見をとりまとめ発表したところです。
財務省において5月11日の審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)で、今後の少子化対策や社会保障制度の改革について議論されました。持続可能な社会保障制度の為に記載されている内容の一定の理解ができるものの重要な会議の場において誤認が起こりえるような資料が一部あり懸念を持っております。
特に、【資料 2 財政各論③ こども・高齢化等】p95、【介護事業の推移】において「○介護事業者は、直近のコロナ禍で、業態間の多少の異同はあるものの、安定した収益をあげている。○産業界全体、とりわけ中小企業や中小サービス業がコロナ前から年ごとに収益が変動する一方、介護事業の収益は安定した伸びを示している。」と記載されており、他産業と比較して収益性が高いといった誤認を招く内容になっていることに対しつよく疑念を頂いております。
注釈に算出根拠として介護経営(概況)調査の結果から、
(注1)給付費は 2021 年度の介護給付の実績。介護予防サービス、地域支援事業等は含まない。
(注2)厚生労働省の経営実態(概況)調査は、事業所から本部への繰入を特別損失(特損)として計上する一方、本部から事業所への繰入は計上されていない。そのため、事業所ごとの経営状況を確認する観点からは、特損を除いた収支で分析することが適当。(独)福祉医療機構の経営分析参考指標においても事業収益に着目した分析を行っており、特損は含んでいない。
と記載があり、これが意味するところの詳細な説明が必要と考えます。
実際の介護事業所においては本部による集中管理により経営努力のうえ効率化を図っているのが実情です。
令和 4 年度の経営概況調査の結果として令和3年度決算において通所介護の収支差率は 1.0%(コロナ補助金を含む)と発表されているにもかかわらず、本資料においては同年度「訪問+通所」5.1%と表記されており単純比較はできないもののとても実情を反映された内容とは思えません。今後の議論においては、政府、財務省、厚生労働省においては机上の計算ではなく、公平かつ実態を反映した資料にて公正に議論されて行くように強く要望します。
合わせて協会に寄せられた現場からの声としては、コロナに加えウクライナ-ロシアの問題による社会情勢の混乱により物価高騰による支出増加が続いております。価格の転嫁ができない公的介護事業においては他産業の賃金改善の流れとは逆行する形となり只でさえ担い手が不足している中、人材の流出も問題悪化に直結いたします。持続可能な社会保障制度の維持には介護人材は不可欠であり、その処遇の見直しの観点からも適正かつ公正な議論が必要と考えております。