介護従事者に対する処遇改善に関する政府方針に対する見解

お役立ち

背景

この度、岸田文雄内閣総理大臣の所信表明演説で「公的価格の在り方を抜本的に見直す」「介護などの現場で働いている方々の収入を増やしていく」方針が示されました。 
 すでに「新しい資本主義実現会議」が開催され、「成長と分配の好循環」の具体化に向けた緊急提言がまとめられ議論が本格化していることに続き、全世代型社会保障構築会議、公的価格評価検討委員会の合同初会合が行われ、処遇改善に向けた加速度的な動きについて、コロナ禍において最も影響の大きかった通所介護事業者は大変厳しい環境の中で、感染拡大防止に務めてきた介護現場や介護従事者を評価頂けることに日本デイサービス協会として大きな期待を寄せております。 

既に処遇改善に向けた内容が一部で報道されているところでありますが、介護従事者の処遇改善に関しては現行ある「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」共に課題があると考えています。単なる拡充とならないように問題点を改善すべく現場の声をとりまとめ、下記内容にて政府や行政に働きかけを行ってまいります。

1【介護事業者の分配裁量権について】

従業員の給与規定に関する事項は資格のみならず人材の能力評価をしっかり反映させることが必要。また、介護現場においては多職種によるチームケアが中心となるため職種に限定された処遇改善は、公平性の観点から現場に大きな不協和音を招いている。限定的なルールではなく事業者の分配裁量権の拡大を求める。

2【手続きの簡素化および事務負担の軽減について】

「介護職員処遇改善加算」及び「介護職員等特定処遇改善加算」については複雑かつ現場における事務作業量は膨大であり、小規模事業者についてはそれを理由に手続きできないという声が上がっている。都道府県、市区町村と管轄保険者によるローカルルールも発生してこれも事務負担の要因にもなっている為、処遇改善施策の検討と共に更なる負担軽減になることを求める。

3【総合事業における処遇改善加算について】

利用者の自立支援と介護予防の観点から、総合事業を併設して行っている通所介護事業は多く、デイサービス介護従事者は兼務体制が大半をしめている。しかしながら、市区町村管轄の総合事業においては処遇改善加算を設けていないところが多数であり、現在の「処遇改善加算」や「特定処遇改善加算」については、介護報酬に一定の率を乗じて配布される仕組みでは十分な原資が確保できない。総合事業においても処遇改善加算の標準化を求める。 

一般社団法人日本デイサービス協会
理事長 森 剛士