栄養改善加算の取得率向上のための算定要件の見直しについて

お役立ち協会日記

一般社団法人日本デイサービス協会

理事長 森 剛士

提言内容

介護給付、地域支援事業及び予防給付における「栄養改善加算」は、高齢者の毎日の営みである「食べること」を通じて、低栄養状態の改善や心身の状態の維持・向上に資する取り組みの実施を評価する加算です。厚生労働省の調査や審議においても高齢者の低栄養がフレイルにつながっているという問題により 2021 年 4 月の介護保険制度改正において算定要件の一部が見直されたところでありますが、未だ大きな問題が解決されておりません。

 

高齢者にとっての「食べること」は楽しみや生き甲斐の上から重要とし、「食べること」への支援を通じて、社会参加、身体および生活機能の向上、コミュニケーションの回復、食欲の回復や規則的な便通といった生体リズムの保持へとつながっていくことは在宅生活を継続していく上で重要な項目であると協会では考えています。

 

さらに近年、科学的介護推進体制加算の導入により、ADL 値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況の把握、し向上を促すサービス提供の重要度が高まっております。しかし、重点項目に入っている栄養の加算、栄養改善加算についての算定率はわずか1%未満と低い状態であり、その原因は厳しい管理栄養士の配置要件等にあります。

 

通所介護事業所に管理栄養士が配置されていることは稀であり、直接雇用が難しいことに加え、外部連携の管理栄養士が利用者ごとに栄養ケア計画に従い居宅を訪問するということは現実的は困難を極めます。
生活機能向上連携加算が同様の状況で 2021 年の報酬改定で外部のリハビリテーション専門職と協働を促す「生活機能向上連携加算」の算定率が低いことが問題視され、令和 3 年度介護報酬改定により、通所介護においても ICT 活用等を認めることを要件に組み込んだ新区分が設けられました。

 

以上の理由により、管理栄養士の配置要件の見直しの他、外部連携の可能性を広げるために ICT 活用を認める要件緩和を要望していきます
栄養改善加算の取得事業所が拡がることにより、介護状態の維持改善につながる質の高いサービスの提供が行われていきます。当協会として高齢者の多くは住み慣れた自宅での生活の継続を希望されていることは周知の事実であり、その実現に向けた通所介護事業の果たす役割は大変大きく、継続的に運営し続けられるように活動してまいります。

 

栄養改善加算 算定率

【通所介護】(事業所ベース)…0.6%
【通所介護】(回数・日数ベース)…0.0%
【地域密着型通所介護】(事業所ベース)…0.2%
【地域密着型通所介護】(回数・日数ベース)…0.0%
【認知症対応型通所介護】(事業所ベース)…0.3%
【認知症対応型通所介護】(回数・日数ベース)…0.0%
【通所リハビリテーション】…3.1%
※出典:第 180 回 社会保障審議会介護給付費分科会資料

栄養改善加算 算定要件

・事業所の従業者または外部との連携により、管理栄養士を1名以上配置していること。
・利用者の栄養状態を利用開始時に把握していること。
・管理栄養士等が共同して、利用者ごとの摂⾷・嚥下機能及び⾷形態にも配慮した栄養ケア計画を作成していること。
・利用者ごとの栄養ケア計画に従い、必要に応じて当該利用者の居宅を訪問し、管理栄養士等が栄養改善サービスを行うこと。
・利用者の栄養状態を定期的に記録していること。
・利用者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価すること。
・定員超過利用・人員基準欠如に該当していないこと。
・利用者ごとの栄養ケア計画に従い、必要に応じて当該利用者の居宅を訪問し、管理栄養士等が栄養改善サービスを行うこと。